本の旅日記その7
大学生の頃、
大阪の梅田の紀伊國屋で
店員の人が7冊くらいの文庫本を
トランプのようにひろげて
ものすごいスピードでカバーをかけていくのを見ました。
5台くらいあるレジがどこもいっぱいで
長蛇の列ができ、一時は日本で一番売れている本屋だったことも
あるお店です。
あの技は爆発的に売れるあの売り場が生み出した
職人技だったのだと思います。
電車に乗ると普通に読んだばかりのジャンプが網棚に捨てられて
文庫本を読んでいる人がたくさんいました。
今や時代はスマホにとってかわり
あの頃の光景はもうなくなってしまいました。
ツイッターやインスタグラムで
情報を得て発信する世の中です。
あきばに入社した時、朝、山のように積みあげた本が、
夕方にはペタペタのスカスカになって、
これほど売れるのかと驚きました。
当時のお店は、そのために最初から低く平台をつくっていたということです。
ジャンプ方式という言葉があって
あまりにジャンプの入荷する量が多すぎるために、売り場へすべて並べることができず
店頭へは少しだけ並べて、あとはレジの中からお客様へ渡すようにしていました。
そこから、人気のコミックなど大量に入荷するものは、一部シュリンクして店頭に出し、
レジで差し替えるというやり方となりました。
中学生の時は学校の話題が今週のジャンプで、「北斗の拳」がどうなったのか
話題の中心がジャンプでした。
トキもケンシロウもすごくカッコよかったです。
ジャンプの漫画で自分が一番最初にはまったのは「リングにかけろ」でした。
ボクシングの漫画なのですが必殺技が突き抜けていて
そのパンチをくらった対戦相手が武道館の外までふっとんでいくのは
ざらでした。
またパンチの瞬間に背景が宇宙になる
「ギャラクティカファントム」と「ギャラクティカマグナム」はその威力を見事に物語っている
最高の必殺技でした。
自分が子供のころは岡山でジャンプの新刊コミックを買うのに
本当に苦労しました。
その頃は町の本屋さんにはジャンプのコミックが
本当に数冊しか入荷しなくて、タイトルによっては全く入荷しないものまでありました。
当時、神戸のセンター街の地下にあったジュンク堂に行った時には
その巨大さと本の多さに感動しました。
都会は本当にいいなと羨ましく感じました。
その後何十年かたった今では、岡山にもたくさんの大型書店ができて
さらにそれからネットが主流の時代となり、インターネット通販や電子書籍に
スマホなどさまざまな媒体が発生して本のありようも随分変わりました。
今の子どもたちは自分が子供の時に感じたような、漫画の本を1冊手に入れるだけで
どれほど幸せになれたかというような体験はもうしないのだろうなと思います。
かんたんに無料で動画が見れて、見るだけでなく
自分がネットに自分の動画を配信できるような時代です。
今ほど便利ではなかったけど、あの頃はあれで楽しかったような気がします。