おっちょこちょい

 

先日、車で会社から自宅へ帰る途中、

 

何かカタカタと音がするのですが、

 

それが何の音かわかりません。

 

 

明らかに車から離れた外の音ではなく、

 

すごく近くから聞こえます。

 

 

しかし、

 

普段から車にあまり物をのせっぱなしにしないタイプなので、

 

車の中で物が移動して、

 

そんな音がでるようなはずはありません。

 

 

見渡してみても何もありません。

 

 

不審に思いながら

 

仕方なく

 

しばらく車を走らせていると

 

赤信号で停車しました。

 

 

すると

 

後ろに止まったバイクの人が

 

なぜかしきりに自分の車の左サイドを

 

覗き込むような感じで

 

気にしています。

 

 

はじめは車の間を通り抜けたいのに

 

狭いので

 

躊躇したりしているのかなと思いました。

 

 

ところが、今度は

 

バイクの向きを変えて

 

車の右サイド、

 

運転席側に回り込んできて

 

窓をコンコンとノックしてきました。

 

 

そこでさすがにやっとピンときました。

 

 

窓を開けると、

 

若いお兄さんが

 

「給油キャップが開いたままですよ。」

 

と優しく教えてくれました。

 

 

恥ずかしかったのですが、

 

その場は

 

とりあえず

 

「ありがとうございます。」

 

ときちんとお礼を言って、

 

さてどうしようかと考えました。

 

 

教えてくれたバイクのお兄さんは

 

すでに私の車の前に出て、

 

前方の車列に並ばれました。

 

 

ただ、教えてもらっている間に

 

赤信号で停車してから

 

少し時間がたっています。

 

 

残りの時間内で

 

車外に出て

 

給油キャップを閉め、

 

再び運転席に戻ってくる自信が

 

私にはありませんでした。

 

 

バイクのお兄さんは

 

せっかく教えてあげたのに、なぜすぐ車から降りて

 

給油キャップを閉めないのかと

 

不審そうな様子でしたが、

 

ここはとりあえずすみません。

 

 

次の信号まで我慢して

 

うまいタイミングで

 

赤信号で引っかかった時に

 

給油キャップを閉めることに

 

決めました。

 

 

はからずも

 

次の信号で

 

ドンピシャなタイミングで

 

青から赤に変わったばかりの

 

信号につかまりました。

 

 

急いでギアをパーキングに入れ、

 

シートベルトを外して

 

ドアを開け、

 

車の左後方の給油キャップめがけて

 

一目散に車を回り込むように走りました。

 

 

するとなんと!!

 

今度は隣に停車した車の

 

中から、女性の方が

 

わざわざ車から降りてきてくれていました。

 

 

その女性は

 

私と目が合うなり、

 

「あっ!気づいた」と小さく叫びました。

 

 

おそらく私が気づいてないと思い

 

停車中に

 

キャップを閉めてくれようと思ったのでしょう。

 

 

私は会釈をして小声で「すいません。」と告げ、

 

なんとか給油口と給油キャップを

 

本来の状態に戻し、

 

赤信号時間内に

 

運転席までダッシュで戻りました。

 

 

まったく

 

いろんな方に心配かけて

 

ご迷惑をおかけしてしまいました。

 

 

実はガソリン入れたのは

 

朝、出勤する時だったので、

 

帰りのその時間まで

 

まったく気付かずに

 

給油キャップ開けっ放しで

 

走り続けていたのでした。

 

 

これでカタカタ音の謎が解けました。

 

 

だけどこのおっちょこちょいのおかげで

 

バツの悪い思いもしましたが・・・

 

 

 

人のやさしさに触れることができたので

 

少し幸せな気持ちになれました。