小学館「大ピンチ図鑑」にも負けないほどの大ピンチ

 

 

先日、それは突然やってきました。

 

 

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あの小学館のベストセラー

 

 

「大ピンチずかん」にも勝るとも劣らない大ピンチが…

 

 

 

それは木曜日で、若干小雨が降っていました。

 

 

この木曜日というのは、「雑誌の宅くん」が

 

 

全国のお客様に向けて一斉に雑誌を発送させていただく日です。

 

 

 

その日は仕事がおしていたのか、

 

 

いつもより運送屋さんのトラックの到着が

 

 

50分ほど遅く、来られたのは16時前でした。

 

 

 

荷台を見ると満タンの荷物で

 

 

うちの荷物を載せてもらったら、ほぼスペースがなくなる状態でした。

 

 

 

いつも親切に対応してくれるドライバーさんが

 

 

小雨を気にしてくれて、

 

 

一度バックで突っ込んだトラックの向きを

 

 

雨が荷台に吹き込まないように

 

 

「逆向きに変えますよ。」

 

 

と言ってくれました。

 

 

 

私は悪いなと思いながら「大変じゃないですか?」と聞きました。

 

 

 

「いや、このままだと濡れてしまうので、すぐ変えますよ。」

 

 

と親切に言ってくれました。

 

 

 

私は「お願いします。」と言って、

 

 

とりあえず、すぐに荷物を積み込めるように

 

 

奥に入って荷出しの準備をしていました。

 

 

 

するとしばらくして「キュルキュルキュルキュル」という

 

 

嫌な音が聞こえてきました。

 

 

 

なんだろうと思って、表に出てみると

 

 

なんと方向転換しようとしたトラックの後ろタイヤが

 

 

駐車場のくぼみにキレイにずっぽりはまり込んでしまっていました。

 

 

 

さっきの音はトラックの後輪が脱出を試みて

 

 

全速回転で悲鳴を上げている音でした。

 

 

 

親切なドライバーさんは

 

 

「何か板とかありませんか?あればそれをてこにして出られると思うので」と

 

 

言われます。

 

 

 

もともと顔にあせりを出されない落ちついた感じの方なのですが、

 

 

内心は少し困ったことになったという気持ちだったと思います。

 

 

 

「わかりました。」

 

 

 

私はとりあえず、会社の他のスタッフに頼んで、

 

 

何かてこの代わりになりそうな

 

 

薄い鉄板やら

 

 

すこし厚みのある木の板やらを出してもらい

 

 

順番に後ろタイヤにあてがって試してもらいました。

 

 

 

するとなんとしたことでしょうか?

 

 

 

後ろタイヤは激しく「キュルキュルキュルキュル、キュルキュルキュルキュル」を

 

 

くり返しながら

 

 

板をうまくかむことができず、蟻地獄にはまったかのごとく

 

 

地面がえぐれてどんどんタイヤがうまっていってしまいました。

 

 

 

そればかりか、今度は前のタイヤも同じ場所で

 

 

空転するため、そこも砂にはまって溝ができていっていました。

 

 

 

この駐車場は少し前に造成して

 

 

砂利を入れたりいろいろしていたのですが、

 

 

おそらくタイヤがはまった部分の地面含め

 

 

全体的に砂っぽくて踏み固められていなかったのです。

 

 

 

このままでは運送屋さんは業務に戻れず、「宅くん」の荷物も

 

 

本日中にここから運ばれていくことは無理かもという感じでした。

 

 

 

あの時、向きを変えようと言ってくださったために

 

 

大変な事態になりました。

 

 

 

夕方なので集荷のリミット時間も刻々と迫ってきます。

 

 

 

その時、「トラックが駐車場で砂にはまって、出られなくなった。

 

 

山名のとこの2トンのトラックで引っ張り出してくれ」という

 

 

声がしました。

 

 

 

上司が山名製菓さんの大将に電話して

 

 

応援を頼んだのでした。

 

 

 

山名製菓さんというのは上司の幼馴染で

 

 

この地区では有名な老舗のかりんとう屋さんです。

 

 

 

しかし仕事中なので、いつ来てもらえるのか

 

 

少し不安がありました...

 

 

 

と思っていた矢先に、ほんっとにすぐ

 

 

おそらく5分もたたないうちに

 

 

ハヤテのごとく、山名製菓さんの2トントラックが

 

 

駐車場に猛スピードであらわれました。

 

 

 

そこからの行動と展開がまたすさまじく早く、

 

 

狭い場所での2トンと4トンのトラックの引っ張りあいになるので、

 

 

邪魔になる別の軽自動車を移動して

 

 

ロープをトラックに引っ掛け

 

 

早速引っ張り上げる態勢にまでにまでこぎつけました。

 

 

 

第2ラウンド開始です。

 

 

 

大量の荷物を満タンに積み込んだ運送屋さんの4トントラックを

 

 

救い出せるのか?

 

 

 

望みはすべて山名さんの2トントラックにかかっています。

 

 

「クルキュルギュルギルブロロオオバリバリ」

 

 

2トンと4トンの引っ張りあいはすさまじい轟音とともに

 

 

続きます。

 

 

 

かました木の板が天の方向に向かって立ち上がってしまって、

 

 

かえって邪魔になっているようです。

 

 

 

数回のトライでまったく抜け出せそうな予感がありません。

 

 

 

それどころか、今度は応援に来た山名製菓さんの2トントラックの

 

 

タイヤが空転を繰り返して地面をえぐってはまりこもうとしています。

 

 

 

私は何もできず、見ているだけですが、

 

 

このまま2トンと4トンのトラックがはまり込んで

 

 

動けなくなったらどうなるんだろうかと

 

 

真剣に心配になりました。

 

 

 

「神様、なんとかしてください」

 

 

本気で天に祈りました。

 

 

 

その時、かましていた木をはずして、

 

 

2台のトラックが全力で「ギュルルルウギャギャガアア」を

 

 

ふり絞った時、やっとのことで運送屋さんのトラックが溝から

 

 

浮き上がり、平地にドッカンと着地しました。

 

 

 

 

「パチパチパチ」思わずその瞬間、拍手がでて、涙が出そうになりました。

 

 

本当に良かったです。助かりました。

 

 

 

山名製菓さんの大将は運送屋さんのドライバーさんに

 

 

「行けっ!!早く仕事に戻れっ!!」と言いました。

 

 

 

だけどまだうちの荷物を積んでもらっていなかったので、

 

 

「まだここの荷物が積めてないんですよ。本当にありがとうございました。助かりました。」と

 

 

ドライバーさんが答えました。

 

 

 

きっとドライバーさんの仕事を心配して、

 

 

飛んできてくれたのだと思います。

 

 

 

その後、山名製菓さんの大将はタバコを一服だけして

 

 

来た時と同じように「まだ仕事が残ってるからな。」と言って

 

 

風のように立ち去られました。

 

 

 

まさに英雄(ヒーロー)でした。

 

 

 

カッコよかったです。

 

 

 

おかげで「宅くん」の荷物も無事にお届けしていただけることになりました。

 

 

 

「雑誌の宅くん」のある1日の大ピンチでした。