父親と弟とゴルフ

 

うちの父親は現在、81歳なのですが、

 

週末の朝に必ず弟と

 

ゴルフの打ちっぱなしに行っています。

 

 

 

弟がゴルフにはまっていて、

 

ここ最近になって

 

二人で出かけるようになりました。

 

 

朝は早朝割引があって

 

安いのでたくさん打てるみたいです。

 

 

弟の腕前は父親の話によると、

 

かなりのものらしく、

 

周りの人が感心してじっと見にくるくらいだそうです。

 

 

自分はゴルフのことはよくわからないし、

 

興味もなくて、

 

実際に打つところを見てもいないので、

 

へえそうなのかという程度の感想です。

 

 

父親のほうもゴルフが昔から好きなので、

 

年で体は思うように動いてくれなくても、

 

ゴルフの理論について

 

弟とああでもないこうでもないとしゃべったり、

 

自分なりに

 

試し打ちしてみるのが楽しいみたいです。

 

 

実は弟は昔、父とけんかして

 

7年ほど家族と音信不通の絶縁状態にになっていたことがあります。

 

 

3年ほど前に父が外出中に倒れて頭を打ち、

 

脳挫傷で救急車で運ばれたとき、

 

救急隊員が携帯の連絡先を見て

 

弟に電話をかけてくれたことがきっかけで

 

家族との関係が復活しました。

 

 

そういうこともあって、

 

週末のたびに

 

弟がゴルフの早朝打ちっぱなしに

 

さそってくれることが

 

父親にとってはとても嬉しいのだと思います。

 

 

いつも満面の笑顔と大きな声で

 

今日のゴルフがどうだったかを

 

話してくれます。

 

 

ある日、いつものように

 

父と弟が朝ゴルフにでかけ、

 

その後、時間がたって声がしているので

 

帰ってきたのがわかりました。

 

 

弟は家には上がらず、そのまま帰っていったみたいです。

 

 

しばらくして私が2階から降りて

 

父親の顔をみて

 

「えっ!!!」となります。

 

 

なんと額の右側半分が赤く擦り剝けて

 

血まみれの痛々しい状態になっています。

 

 

「どうしたん❓その傷は!!」と

 

とっさに本人に聞きました。

 

 

『ゴルフ場でつまづいてこけて死にかけた。

 

○○(弟)には「あっ!死んだ!!」と言われた』と

 

バカ笑いしながら嬉しそうに話します。

 

 

見ていて本当に痛々しいのに

 

「まだ死ぬないうことや。

 

2回目、

 

前に倒れて脳挫傷、経験しとるからわかるんや。

 

普通は手で頭を守ろうとするんやけど、

 

それができんかった。」

 

と笑いながら言っています。

 

 

元気に明るく、さもたいしたことがなかったかのように

 

必死に説明してくれます。

 

 

母は「もう年なんやからゴルフなんかムリなんや。

 

○○(弟)につれていかんようにゆうとかな。」

 

と言っています。

 

 

だけど父親にとって、

 

弟とのゴルフをあきらめるということは

 

表情を見て

 

酷なことだとわかったので

 

私は

 

「今度からゴルフ行ったときは

 

○○(弟)に

 

手をひいてもらっていかんとダメやな!!」と

 

いうことしかできませんでした。

 

 

血まみれの傷だらけになって死にかけても、

 

弟とゴルフに行くことが

 

嬉しいんだということを

 

リアルに実感したある週末の出来事でした。